最近、自分の体に気になる変化が起きている。
オナニーしていると、勃起する前に射精してしまうことがあるのだ。
最初は「疲れてるせいかな」「たまたまだろう」と思って気にしないようにしていたが、数回同じようなことが続くと、さすがに不安になってくる。「もしかして早漏?」「いや、でも勃起してからは普通にできるし、すぐに逝ってしまうわけじゃない…」。自分でも、この症状が何に該当するのか、いまいちよく分からなかった。
「ED(勃起不全)なんだろうか」と頭をよぎる。けれど、それを誰かに相談するのはなかなか勇気がいる。性の話はとてもデリケートだし、初対面の医師に面と向かって話すのは気が重い。
それに、そもそも「どの診療科に行けばいいのか?」ということさえ分からなかった。内科?心療内科?いや、たぶん泌尿器科なんだろう。でも確信は持てない。
そんなとき、ネットで調べていて「遠隔診療」というサービスがあることを知った。スマートフォンやパソコンを通じて、病院に行かずに医師と相談できるという仕組みだ。直接顔を合わせる必要がないぶん、こういった悩みも少しは話しやすいかもしれない――そう思い、思い切って利用してみることにした。
診察当日。電話越しに現れた医師は、落ち着いた雰囲気の男性で、こちらの話を丁寧に聞いてくれた。
症状を伝えると、医師はこう説明してくれた。
「いまのお話を聞く限り、”勃起する前に射精してしまう”というのは、一時的な精神的ストレスや過度の緊張が影響している可能性が高いですね。EDとは少し違います。EDは“勃起が十分に得られない、もしくは維持できない”ことが主な症状です。今回のように“勃起する前に射精する”というのは、心因性の射精障害や一種の予期不安が原因かもしれません。」
さらに、医師はこう続けた。
「こういうケースでは、まず生活習慣やストレスの状況、睡眠の質などを見直すことが大切です。必要であれば、軽い抗不安薬や漢方薬を併用することもあります。また、心因的な要素が強い場合は、カウンセリング的なアプローチも効果的です。」
EDや射精障害といった性機能のトラブルは、決して珍しいものではないということも教えてくれた。特に30代以降の男性にはよくあることで、恥ずかしがる必要はまったくないという。
電話越しとはいえ、こうして誰かに悩みを話せたことで、心の中にあった重たいものが少しだけ軽くなった気がした。薬を出してもらうこともできたし、次回また気になることがあれば相談できるという安心感も得られた。
まだ完全に解決したわけではないが、「何もしないで悩み続ける」状態からは脱することができた。それだけでも、大きな前進だと思う。体と向き合うこと、そして自分の性の問題を否定せずに受け入れること。
それが、今の自分にとっていちばん大切なことなのかもしれない。